「不登校の子どもにどう対応すればいのか」
これは親御さんにとって一番の悩みであり、課題だと思います。
今回はカウンセラーがカウンセリングで大切にしていることを応用して、不登校の親御さんに知ってほしい10の視点について話していきたいと思います。
これは、不登校だけでなく、子育てや部下との関係、夫婦関係など悩みを持つ人との関係に応用可能です。
そんなことを考えて読んでみても参考になると思います。
Contents
不登校の親御さんに身につけて欲しい基本的な視点
ここでは不登校を持つ親御さんが、どのような考えを持ってお子さんと関わるのが望ましいのかを説明していきます。
不登校のお子さんを持つ親御さんにとってはどう対応したらいいのかということが、
一番の悩みであり、一番重要なことのように感じるかもしれません。
確かに具体的な行動も大事ですが、考え方あっての行動です。
食の重要性について理解し、健康が第一と考えている人は、ジャンクフードはあまり食べないですよね。
いやいや、安くて早い!そんなジャンクフードは素晴らしいと考える人は、ジャンクフードを好んで食べますよね。
このように何かをするという行為の背景には考え方や意志が関係していきます。
ですので、初めは3つの考え方について話していきたいと思います。
1人間を実現傾向を持った存在として理解する
「実現傾向?何じゃそりゃ?」と思った方が多いと思うので説明します。
実現傾向とは、自らが望む方向を知っていてその可能性を追求していこうとすること、いわゆる自己実現しようとする力です。カウンセリングオフィスうららさん「来談者中心療法」より
つまり、自分の問題は自分で解決する力があるんだよということです。
これ感じたことありませんか?
子どもがいつのまにか成長していた、いつのまにか自分で問題を解決していた
思い返してみるとそのようなことは誰にでもあると思います。
そう、つまり実現傾向は誰にでもあるんです。まずはそこを理解してください。
そして、親御さんに持って頂きたいのは「自分の子どもは自分の力で今の問題を乗り越えることができるんだ」という信頼です。
この信頼がない親御さんは、心配から何でもやってあげたり、問題がおきたらなんとかして解決してあげようとします。
そうすると、お子さんの依存性が高まります。
確かに親御さんのアドバイスで一度は問題が解決するかもしれませんが、もしまた他の問題がおこったときにまたお子さんは親御さんを頼るようになります。
つまり、お子さんが自分から何かをしようと思ったり(自発性)、自分で何かを決定すること(自己決定)ができなくなってしまうんです。
ですのでそうではなく、まずお子さんには自分で問題を解決する力があるんだと信じて下さい。
そして、相手の自主性や自発性を尊重した上で、援助してあげてください。
2お子さんの問題や悩みを成長の契機と捉える
問題や悩みというのは、悪いもので排除すべきものと捉えがちです。
でも、問題や悩みは成長するために必要があるからこそおこっています。
あなたが「あのとき自分は成長したな」と思ったときはいつですか?
多くの場合、悩みや問題を自分で解決したときだと思います。
そうです、成長は、悩みや問題があってこそ起きるのです。
しかし、それがわかっていない親御さんは、お子さんの問題や悩みを悪いものだと考えてしまい、過度に心配して深刻になってしまいます。
そうするとお子さんにも悪影響がでるだけではなく、自分が心身を壊してしまうということにも繋がりかねません。
ですので、悩みや問題を過度に問題視せず、悩みを通してお子さんがどう成長していけるのかを一緒に探っていくことが重要になります。
3お子さんの感情・情緒を重視する
どうしてもお子さんの将来のことを考えると、客観性や合理性、論理性を求めてしまします。
学校に行かなかったら、出席日数が足りなくなって進学できなくなってしまう。
そうすると、就職もうまくいかないし、幸せになれなさそう、だからこそ、学校に行かせなければ、、
確かにこの考え方は合理的かもしれません。
親御さんが、こういう考え方をしてなくても、不登校の子どもの中にもこういう考えを持っているこはたくさんいます。
でも、子どもの感情的には学校に行きたくないわけです。
それを親御さんが無理にいかせようとする、またはお子さんが無理に行こうとすると、学校に行きたくないという感情は抑えられることになります。
しかし、感情というのは、抑えられるとどんどん大きくなるものです。
ダイエットのときに、食べちゃだめだ食べちゃだめだと思うとすごく食べたくなるのと同じです。
学校に行きたくないという気持ちを抑えることで、どんどんその気持ちが強くなり、さらに学校に行けなくなってしまうのです。
感情は表に出さないとなくなりはせず、抑えることで大きくなります。
ですので、親御さんとしてお子さんのどんな感情でも受け止めてあげることが重要になります。
そうすることで、お子さんが感情を表に出しやすくなることにもつながります。
不登校の子どもを対応するときの関わりの視点
4子どもの話を受け止めながら聴く(傾聴する)
一般的には話を聴いてあげることよりも、アドバイスをしてあげることのほうが効果的だと思う人がいるかもしれません。
しかし、相手を充分に理解していないままでのアドバイスは、相手の求めることとずれていたりして、相手を傷つける可能性があります。
ですので、まずは相手を理解して下さい。そのための手段が傾聴です。
何もアドバイスはなかったけど、自分のために聞いてくれてうれしかったなんてこともあります。
「相手の話を受け止めてあげる」これを覚えておいて下さい。
5子どもを内側から理解する
多くの親御さんはお子さんに対して外側からの理解をしています。
外側からの理解とは、自分の経験による決めつけや偏見、枠組みにはめて理解することです。
例えば、失恋を経験している友達に、「私が失恋したときはこうだったからこうすると気分が楽になるよ」とアドバイスするのは外側からの理解です。
これって、相手の気持ちを全く理解していませんよね。
自分のときそうであったからといって、相手が同じように感じるとは限りません。
全く同じ経験をしても人によって感じ方は様々です。
以前のクライエントさんに「私はどんなに辛い状況でも耐えてきた。だからテストの点数が悪くなったくらいで、なんで学校に行かなくなるのか理解できない」という方がいました。
この方は、内側からの理解ができていませんよね。自分の主観をお子さんにも当てはめようとしています。
それでは、お子さんの気持ちを理解して適切な対応をすることができません。
だから、そうではなくて、子どもの視点を尊重して子どもの内側から共感的に理解することが重要になります。
6言葉や行動の背景に目を向ける
言葉や行動は気持ちの表れです。
お子さんが、親の前では平気そうに見えても、実は無理をしていたなんてことはよくあります。
よく小学生くらいの男の子が好きな子にちょっかいをかけたり、からかったりしますよね。
それは、本人からすれば、好きだからこそしてしまうことです。
しかし、行動だけ見れば、「あの男の子はあの女の子のこと嫌いなんじゃないのか」と思ってしまいますよね。
そうすると、男の子の本当の思いは伝わらないでしょう。
このように、子どもは自分の気持ちと行動が一致していないなんてことはよくあります。
ですので、重要なのは表にでている言葉や行動のみで判断、決めつけするのではなく、背景に目を向けることです。
7相互的な人間関係を大切にする
先生➡️生徒、医者➡️患者のように、一方的な関係ではなく、親⇆子どものように相互的な関係が大切です。
1で実現傾向をお話したときの、「親が心配だから全部やってあげる」ということが一方的な関係の一例です。
「先生が教える、生徒が教えてもらう」「親が援助する、子どもが援助される」という縦の関係です。
その関係では何がよくないのかは1でお話したので割愛します。
1でお話したように、お子さんの自主性や自発性が低下しないようにならないためにも、親子が一緒になって悩みや問題を考えていくという対話的な姿勢が重要です。
不登校の親御さんが立てるべき方針の視点
8お子さんの長所を大切にする
長所を大切にすると書きましたが、目指すところは「長所も短所も含めてお子さんを理解する」ことです。
じゃあなんで長所を大切にすると書いたかといいますと、短所ばかり見ている親御さんが多いからです。
短所は短所であってもいいんです。でも、親御さんが短所しか見れていない場合はNGです。
短所、長所というのは表裏一体です。
短所は視点を変えると長所になります。逆もまた然りです。
といことは、短所と長所って同じ1つの性質なんですね。
だから、冒頭で書いたことに付け加えると、目指すところは「長所も短所も含めて(1つの性質を)理解する」ことです。
さきほどもいったようにお子さんの性質を見るときに短所側からしか見る事ができない人が多いです。
長所は影になりやすく、見えにくい部分かもしれませんが、視点を変えて長所に光を当ててみてください。
9良くしようとするのでなく、悪くしないようにする
悩みや問題を抱える子どもの今の状態というのは、その子が考える全力です。
ということは、今の状況が精一杯かもしれません。
現状維持にもパワーが必要だからです。
それを考えずに、良くしよう、よくしようとすると失敗する可能性があります。
例えば、不登校の子が保健室登校できたとしましょう。親御さんとしてはうれしいことでしょう。
でもうれしいからといって、保健室登校できたから、じゃあ次は教室に行ってみようとどんどん良くしようとするのはよくないです。
その子にとって保健室登校が現状できる精一杯のことかもしれません。
だからこの場合は、保健室登校するのにも、相当なエネルギーを使っているんだということを理解して下さい。
重要なのは、現状維持にもエネルギーを使っているという視点です。
10根気づよい努力を大切にする。
心の変化が行動に表れるのには時間がかかります。
そのため上の画像のような変化が見られることが多いです。
でも、多くの親御さんが焦りからか下の画像のような直線的な変化を求めてしまいます。
このように変化することはほとんどありません。
このように変化していくのを求めてあせっても、お子さんに良い影響は与えられません。
むしろ悪影響を与えてしまうことが多いです。
ですので、変化が表れるのには時間がかかるということを理解して、根気強い努力を大切にしてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、不登校の親御さんに身につけてほしい10の視点を「基本的な視点」「関わりの視点」「方針の視点」にわけて説明しました。
どの項目も大事なことなので、意識して実践してみて下さいね。
といいたいところですが、いくら正しいからといって、自分とは考え方が違って、もやもやする項目もあるかもしれません。
そのときは、別に無理して直そうとする必要はありません。
3でも言ったように感情は押さえ込むと大きくなりますからね。
だから、自分がもやもやするという感情は受け入れあげて下さい。
その上で、なんでもやもやするのか考えて見てください、そして、なんで自分の考えと違うのか、なんで自分はこういう考え方をするのかを考えてみてください。
それが重要なことです。
今のように、「いくらカウンセラーが大切にしている合理的なことでも、自分には合わないという感情を大切にする」
つまり、三項目を自分にも向けてあげるのと同じで、
実はこの10の視点は自分にも向けてあげることも重要なんです。
今回は子育てや部下との関係など、様々な分野に応用可能と書きましたが、自分にも応用可能だったのです。
その視点をもってもう一度読み直してみると新たな気付きがあるかもしれません。
最近のコメント